銀河と四季の道標

綴りたいことは日々あふれるからその溜め処。

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蝸牛の伝言

頼むからさ、そんな怖いこと言わないでおくれよ」

誰から話し出したんだと突っ込みたくなるのを我慢してコーヒーを飲みなす。苦みだけしか感じないのはそもそももとから嫌いだったからに決まっている。味なんてものはとてつもない固定観念だって、お前も言ってたじゃないか。

「そうやってすぐ、人のせいにする…いまさらなんだよ!」

 そうかい、今さらかい。でもサイコロを投げたのだってお前だぜ。しかも1なんて出しやがって、こんなの偶然なんかじゃないぜ、お前の運だ!…なんて言い返したところでまた屁理屈が帰ってくるに決まっている。俺は苦いコーヒーを飲みながらSからの行動を待った。そもそも喫茶店、て。いや、もうやめにしよう。

「じゃぁさ、君も今日家にとまってみてよ、友達じゃん」

 そして都合が悪くなると友達のよしみ作戦。ずずっとわざと最後の一滴を飲みほした。

「じゃぁいくけど、その案飲む代わりに条件をお前も飲むんだぞ!」

「なになに?」180度変わった声質…

「もし、何も起こらなかった場合…お前のおごりで飲みな」

「…えぇ…金欠なんだぜ…さいき」

「じゃあこの交渉はなかったことに…」

「わか、わかった、わかったよぅ、そのかわりむら」

「駄目、飲み場所も俺が指定する!」

そして俺はポケットからチラシを出してSに見せた。

「肉食べ放題4000円2H飲み放題付き♪」

「えー、そしたら2人で8000円じゃん、無理ー」

「なにもお前は食わないでいいよ、金さえもらえれば」

「やだ、喰いたい」

「じゃあ8000円」

「それに俺知っているぞ、お前スクラッチ5万あてたこと」

「ギクッ」

「いいな」

「はい」

「お前すぐ忘れるから今夜だ、ひとりで食ってもつまらない金あるんだ、お前も付き合え!」

「はい…」

「よし、じゃあ今夜じっくり話を聞こう」

「8000円~」

 

「ふう~やっぱり焼き肉は最高だな!」

「だろ、おれなんてただで食うんだもっとうまい。で、なんだ?」

「ええと、むしゃむしゃ…」

 日中散々真剣な顔をして相談していたことがウソみたいに肉を目の前にしたSは野性満々で食欲を貪っていた。

「おい、そこは真面目に話さないと、俺だって暇あっておまえんちとまる訳じゃないんだぜ?」

「そうだったな、ごめんごめん」

むしゃむしゃ

「まあ昼間話した事が大体なんだけれど、兎に角0時だね、0時を過ぎるとむしゃむしゃ。」

ダメだこいつは。恐怖心すらこいつの食欲の前では萎えてしまうのだ。だったらいっそのこと一晩中飯でも食っていれば解決するんじゃないだろうか。太るがな。

「おれは大体仕事が終わってむしゃ、9時ごろ家に帰ってだなむしゃむしゃ、風呂に入ってごくん。まー十時ごろから晩酌するんだ。そんでテレビを見たりゲームをしたりしてなんだかんだ就寝は1時、あ下ろしソースとってくれ」

「それでだな、俺はアパート暮しだが、隣の部屋にな、ぐびぐび住んでる男が」

「それは昼間聞いたよ、要するに隣で何やら不思議な音がしてたまに爆音がなって目が覚めてしまう。3週間くらい我慢したんだがもう五月蠅いわ気になるわで隣の部屋に突入してしまったと、深夜過ぎに。そしたら隣の住人がびっくりして泣きだしたんだろ?そんでお前が謝ったら許さないと、お前のせいで全てがパーになったんだと」

「そういうことだ、でその奏ちゃんがだな」

「ってもうそんな仲なら俺行かなくていいだろ」

「え、おれはその奏ちゃんが怖いだなんて言ってない。その奏ちゃんから聞いた話が怖いって言ってるんだ」

「はぁ…どんな話なの?あ、焦げちまってる、今度は俺が喰いに徹するから分かりやすくゆっくり説明しろ」

「世界が滅びるんだと」

「ぶほっ!肉吹きだしちまったじゃないかもったいねー、そんなの信じてんのか?」

「って、奏ちゃんの部屋に住んでる神様が言うんだよ。金色で小さい蝸牛なんだけど、話ができるんだ「おれは神様なんだよ、地球もうすぐ壊れちゃうよ、どうする事も出来ないけどね」って、俺も聞いたぜ」

「わかった、もういってそのカナちゃんだかとその、神様に直々に会うしかない。」

「だろ!ってええ?今の話を聞いて会うしかないって思ったってことは、奢らなくても来てくれるってこと?という事はここは折半、ゴチッ!!なにも、何も殴る事ないじゃんか!!!」

「いいからさっさと払って来い、で、いくぞ、おまえんち」

「もう!わかったよ」

怒りながら会計に歩いていくSを見ながら俺はもう一杯ビールを頼んだ。フフッ。鼻歌が出た。

 

「奏ちゃんは、泣き虫だから怖がらすなよ」

「はいはい」

ピンポーン。

Sが呼び鈴を鳴らす。

「カナちゃんいるかい?」

すると中から20前後といった俺たちより少し年下の男の子が出てきた。色の白く透き通った肌で小柄な体型身長は160cm前後といったところだろう。

「Sくん、やぁ」

精気の抜けたような声と風貌でカナと呼ばれる男の子は俺たちを招きいれた。

「どうも、はじめまして」

「君の事はSくんからさっき聞いてるよ…。じゃあさっそく…」

俺たちを今に敷かれた炬燵に座らせるとカナはいったん家の奥へといき、なにやらかを手に持って再び今の炬燵へ戻ってきた。

「これが神様だよ」

そういってカナが持ってきた紙箱の蓋を開けると、そこには確かに眩しいほどに輝く金色の蝸牛がいた。

「ヤア、&%&#(“’)

カタツムリは確かに、俺の名前を、言った。

 



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