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流星

2016年08月29日

1.りゅうせい期
 りゅうせいき、その言葉を聞いたのは深夜のラジオだった。
どんな人にも人生の間に一度はりゅうせいきが訪れるのだという。
そしてそのりゅうせいきの訪れたのちにもう一人の自分があらわれるらしい。

 朝起きても不思議と”りゅうせいき”という言葉は僕の頭に残っていた。
なにげなくスマートフォンで検索してみるが出てこない。多分何かもう少し言葉のどこかを聞き間違えていたのだろう。特に真理に尾を引かれることなく身支度をし会社へと向かった。

2.コソアドオルと月
 通勤電車に揺られながら鈴木は片手でスマホをいじっている。今朝も起きてすぐアパートから飛び出したものだから半端に眠く、崩れそうなのを好奇心で防ごうとしている。今夜はスーパームーンらしい。昔からスーパームーンとされる事象はあったのに、キャッチーな名前を付けられた途端この人気。月は喜んでいるのか悲しんでいるのかそれとも何とも思っていないのか…わからないけれど。

 さりとて鈴木も全く興味がないわけではない。興味がないわけではないが大衆の興味の的とはまた別なところに興味がある。鈴木は昨年のスーパームーンに不思議なものを見た。大きな猫が月のてっぺんに登っていたのだ。慌てて弟が見ていた望遠鏡を横取りする。猫はにやりとわらった。猫は鈴木を見ていた。

3.コソアドオルと人間
 コソアドオルは早く地球に還りたいと思っていた。コソアドオルは遠い未来から月に落ちてしまった未来人だった。未来から来て1000年がたっていた。もう時系列なんてよくわからない。そしてもともと15歳の少年だったコソアドオルはなぜか猫になってしまっている。おいおい月にはウサギが居るんじゃなかったのかいなんて冗談は999年前に飽きてしまっていた。

4.りゅうせい期博士
 りゅうせい期博士はいつも星空を眺めていた。ぼーっと、じーっと。周りの人たちはりゅうせい期博士の事をホシツカレといった。博士はホシに憑かれてしまったんだって。もう人間の言葉なんてわすれてしまったんだろうって。そんなりゅうせい期博士は一年に一度だけ誰にともなく声を発する。「やっぱり猫だ」
その日は決まってスーパームーンだという。

5.再びスーパームーン
 この小さな星に今たった二人。固唾を飲むようにじっと月を見上げている人がいる。りゅうせい期博士と鈴木だ。あの猫にあえるかな?そう思っている。ネコもネコであの人間はぼくをまたみつけてくれるかな?と思っている。そして実はとてもとても長い物語にもりゅうせい期が訪れようとしている。

6.コソアドオル
 コソアドオルは二つの望遠鏡にめがけて大きく手を振る。りゅうせい期博士と鈴木の心臓ははれつしそうなほどドクン!となる。

 「やっぱりいた!」
 
 そのねこはぼろぼろと涙を流していた。

7.流星期
 そしていま奇跡は膨張に膨張しクライマックスを迎えようとしている。巨大な流れ星が月に近づこうとしていた。博士や鈴木以外の人々は悲鳴を上げ四方八方へとにげる。2人だけは2つめの固唾をのみこみじっと月を見つめている。

8.おわり
 衝突しようとする瞬間人々は堅く目を瞑る。それぞれの神に祈りを捧げ、それぞれの真実の愛をあらわにする。光はいつの間にか小さくなり始めている。ひとびとはそっと目を開ける。

 その空には2人の人影と一匹の猫影があり、月明りに照らされ地表に大きな影を作った。

9.おわりのはじまり
 「僕はコソアドオル。遠い未来から来て、1000年月に居続けている。そして本当は人間なんだ」
鈴木と博士はなぜか不思議とその矛盾した話を受け入れ、うんうんとうなずいていた。
 「ありがとう、じゃあね」
 コソアドオルは涙でびちゃびちゃになりながら流星を呼び戻し飛び乗る。
 そして遠い遠い未来へと還っていく。


 
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ああ!僕はとうとうテントを立てて、(夢想ではなく本当に!)火を炊き星を見上げ…はできないけれどデイキャンプだから!たのしみだなぁ。直火OKなキャンプ場パチパチ音を立てて遊ぶ火の粉や本当の北風、秋の空なにをみてもうれしいし、何を食べても美味しいに違いない!


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