銀河と四季の道標

綴りたいことは日々あふれるからその溜め処。

椅子人との夏の思い出  

うちわ扇げば涼しいもんだ
オートマチッククールウィンドも快適だけれど
あいつは燃費も悪いし堕落させる
そんなこといいながら走りだしたのさ
やっぱり休日

買ったばかりの麦わら帽
ほんとうなら一年中かぶっておきたいところだけれど
人の目気にする僕はつい
まだかな? そうして助手席のヘッドレストに被せた
それがこの素敵な物語の始まり

随分哀愁漂っているな
それが最初の感想
前傾姿勢の黒い影 と、麦わら帽子ミスマッチ
そんなこといいさ
エンジンをかける

きみはいつもビールでもちびちび飲んでいそうだ
そんなことをつぶやくと満更でもないと麦わら帽をゆする
かと思うとアームレストが不自然に起き上がる
君の手かい?冗談交じりで聞いてみると確かに助手席はうなずいた
そしてやつはまっすぐ前を指差したまま動かなくなる
そういうことかい
海か、海へいこう
このみちまっすぐ突き進むもの それは海しかない!

椅子人は動かない 海について何をしたいのかもわからない
指をさしたら最後びくともしない ぼくはカーステレオをつけた
AMが何か喋っている 椅子人はむっつり
いったい海についたところで何をしようというのだろう
歩ける訳でもあるまいし
そうこう走行している間に海についた

ほらついたよ 椅子人に声かける
椅子人は確かにうなずく
そして思いもよらない行動に出た(最初のビックインパクトを受けて思いもよらないもないけれど)
ずずずと大きく体(助手席)が動き出す
助手席がドアを開ける
助手席が立ち上がる
…いったい、どこにそんな長い脚が保管されてあったんだ

どしどし言いながら僕の傍ら椅子人
不器用に歩くがなんだか嬉しげだ
そのうち生まれたばかりの小鹿が瞬く間に凛と歩くように
確かな足踏みで海を目指す
ぼくなんか追いつかない するとぼくを
掴みあげて肩に座らせた
表情は分からないけれど 満面の笑みだったのは確か
そして2人で海に駆け込んだ



あれっきり椅子人はだんまりを決め込んでしまったけれど
今日みたいな夏日の日になると潮の匂いが香る
案外また海行こうぜ!なんて声かけたら
アームレストが動き出すような気がするけれど
その時まで
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