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感化

2014年06月11日

六月の雨は暗い。ぼくは押し入れの中にいた。
雲が湿っているのが分かる。それが陰湿なのは夜を含んでいるから。
夜を含んでいるから雨雲はあんな、黒い暗い。

部屋の電気をつけても、感覚は余計暗さに埋もれて
暗さの中での一部の明かりはどこかそれすらくらい。きっと闇に
光は敵わないのだろう。その上人工灯では尚更敵うわけがない。

そして音が響く。不必要に響く。いやがらせのように響く。
こうしているいまも紡ぎたい文字はたくさんあるけれどキーを打ち込む音が耳触りで
画面が眩しくていっそのこと午前中に購入した自由帳に書き込みたいくらいだけれども。
電波伝播の怠け癖がある。だれかに見てほしいんだよ、こんな事すら。

″そうかい″
ディスクトップ型のマイパソコンが喋った。
そして大口を開けた。陳列する牙。例えるなら顔だと思っていた画面は大きな口だったようで
ぼくはどうやら危ないらしい。

喰われた。






電子世界の中はインターネット世界とはかけ離れており1つの情報もない。
吸い込まれる直前しがみついた藁はワイヤレスが唯一の望みだったが反応はなし。
せめてあたまをひやせのひとことでもパソコンが話してくれさえしたら僕はそれなりに閉じ込められた意味を求め
反省をするのかもしれない。

けれどここはそんな教訓的ファンタジー世界ではないらしい。話が1つも進まない。
いままでそれほど手荒にパソコンを使ってきはしなかった。
けどこの犯人がパソコン自体なのかそれともパソコンは媒体でしかないのか恨みの類ではないのか
神様のいたずらなのかそれとも単なるエラーなのか…。

でもたしかに声は聞こえた。″そうかい″、と
確かにパソコンが喋った。ぼくの当てつけの恨みつらみに対して。



「くそ!まいった」
俺はどうかしていた。つい軽い衝動で世界に顔を出してしまった。
宿命的な出会いではあったが、それをどう血迷ったか。ばか俺。
しかもなんだかしらんが食ってしまった。眼さえ覚めていればこんなことにはならなかったのだが
ああ、もう!

トリップ効果は物から物へと自由に移動できる。視覚で確認できるものなら瞬間的に移動することが可能だ。
そこから次の媒体に移動するまで、もしくは目的地につくまではその媒体内に四次元体として滞在できる。
しかしその間は意識を保っていなければならない。意識を失えば四次元効果が薄れ媒体と結合してしまう。
それで一生そのまま…ってならそんなリスク冒しはしない。体力さえ回復すれば再び4次元体に戻る事ができる。
ただ居るだけでも体力を高消費するトリップ効果、それを維持しながら体力を回復させる、これが難しい。
もちろん世界に関与することはタブー。とはいっても知的生命体の関与だけさければいい。まあ…ここからは
すこしえげつない話になるが、結局体力を増やすには食べるしかないのだ。




ウィーーズブーーーーーーーーーー。ああ、慣れない。慣れたかぁない。
何でおれはこんな姿になっちまったんだ。あろうことが宇宙形式生態系保護塞1無の管理者である…おれが。
いや、たしかにゴアズしちまったからな、やばいけどな。
ウィーーーーーーーーーーーーーーーーズブーーーーーーーーーーーーーー。
だからってこんな蠅の姿はやだぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーー。あろうことがもともと管理していた保護塞の
系列の中でも下等で下等の世界のしかもその監視媒体列序100,000,000,000,000式「蠅」って…

おまえらちょっとまえまで、俺の事っていってたんだぞーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーウィーーーーーーーーーーーーーーズブーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。シャカシャカシャカ、手、じゃね、前足、ヨゴレタ





けっきょく 無は むだったってこと ぱそこんはきっといわゆる神ってやつだったんだろう
その 神の きげんをそこねてしまった あれから ずっと なにもないところにいる




ああどうしよ、くそ!はきだしかたなんてわかんねーぞ!よりによってひとくっちまうなんて。
さすが知的生命体 ひとりくっただけでとりあえず外には出れたが。ばれたら0化に決まってる。
考えるしかねぇ。腹ん中に人いるだなんて、とんだ○生だ。波乱万丈ってか!




ウィーーーーーーーーーーーーーーーーーーーズブーーーーーーーーーーーーーーー!



あれ でも ぼくはいま かんがえている むじゃない
これは かみさまの まちがい いや むじゅん 
かみさまの まちがいにきづいた ぼくは じゃぁ



はらがあったけぇ… おれか、おれだったのか…
おれは次は惑星になる そして宇宙形式生態系保護塞だって全部!全部だ!


く、も、の しゅるしゅるしゅるしゅるバクっ!




きっとなにかがあるなんて思ってはいけない。信じ込んだ時それだけになってしまうから。
もしかしたらもしかしたらって、ぼくら案外保育園時なんかよりよっぽど劣ってる。
馬鹿にしてた事が現実になるかもしれないし、全然意味のわからない事が起こるかもしれないし
その一人かもしれないし。もうすぐ終わるかもしれない、それだって思いこみなんだよ。



ぼくはあのとき 窓辺で冷たい雨を見ていた。そして静かな部屋 灯。
それが素敵な事だったんだ。パソコンの電源を入れて、今日はどんな物語ができるのかなって。
パソコンに向かい、キーボードに手をそえると頭より先に手が動いた。もしかしたら手自体に心があって
パソコンで打ったものどころか、書いてきたものすべて手の考えなのかもしれない。
左手でかいたら左手の考え、口でつまんでかいてみたら口の考え。

ときどきこんなこと考える事はない。こころはどこにあるんだろうって。
いろいろ考えてそれがどのぶぶんか手を当てながら確かめる。喉周辺かその下胸あたり。
でも頭だと思うと頭でもあるしお腹かなって思うとお腹にも感じる。
足は、ちょっと遠い。でもあるくとき、それは足の意思で歩いている気がする。

それはきっと、宇宙なんてちっぽけな事じゃなくて、さ



ウィーーーーーーーーーーーーーズブーーーーーーーーーーーーーー。あちこちにいる。
元神様だったあいつは蜘蛛に食われて死んだ。その後の事なんて誰にもわからない。
でもあいつは必死に必死にもがいた。あって思った。ナニカに気づいた。


ハッピーエンドはたまにある。
宇宙形式生態系保護塞1無の管理者が計算し尽くした確立かもしれないしそうじゃないかもしれない。
けれど上には上がいてもしかしたらだれもいないかもしれない。

あ、



そんな風にして物語は続いていく。臭くて辛くてどれもが感覚につながる物語。



FIN
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Author:鹿田草太
ああ!僕はとうとうテントを立てて、(夢想ではなく本当に!)火を炊き星を見上げ…はできないけれどデイキャンプだから!たのしみだなぁ。直火OKなキャンプ場パチパチ音を立てて遊ぶ火の粉や本当の北風、秋の空なにをみてもうれしいし、何を食べても美味しいに違いない!


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